法人と個人事業の税負担比較
結論
個人事業の所得税は5%〜45%の7段階累進課税(住民税を合わせると最大55%程度)であるのに対し、法人の実効税率はおおむね30〜35%程度で所得水準によらずほぼ一定です。そのため、事業所得がこの実効税率の水準を超えてくると、法人化したほうが税負担面で有利になりやすいとされています。正確な損益分岐点は所得控除の状況等により個々に異なるため、税理士への相談が確実です。
この記事のポイント
- 個人事業(所得税): 5%〜45%の7段階累進課税。住民税(一律10%程度)を合わせると最大55%程度
- 法人(実効税率): 法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税等を合わせておおむね30〜35%程度で、所得水準によらずほぼ一定
- 所得税率が法人の実効税率を上回る所得水準からは、法人化したほうが税負担を抑えやすい傾向がある
個人事業の税負担:累進課税が基本
個人事業の所得には、所得が高くなるほど税率が上がる累進課税の所得税が適用され、課税所得に応じて5%から45%まで7段階に分かれています。これに住民税(所得にかかわらずおおむね一律10%程度)や事業税が加わります。開業したばかりで所得がまだ大きくない時期は、法人よりも税負担が軽くなるケースが多い一方、事業が軌道に乗り所得が増えてくると、税率が段階的に上がっていく点に注意が必要です。
法人の税負担:実効税率はおおむね一定
法人の場合、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税などを合わせた実効税率は、中小法人でおおむね30〜35%程度とされ、所得水準によらずほぼ一定の水準で推移します(資本金や所得規模によって軽減税率等の措置が適用される場合もあります)。そのため、所得税の税率がこの水準を超えてくる所得帯では、個人事業より法人のほうが税負担を抑えられる傾向があります。
開業後に法人成りする選択肢もある
最初は個人事業としてスモールスタートし、事業が軌道に乗った段階で法人化する「法人成り」という進め方もあります。宅建業を個人事業として開業した場合でも、後から法人化することは可能です。開業時点での資金や事業規模の見通しに応じて、柔軟に検討するとよいでしょう。
税負担以外に判断材料にしたい観点
| 個人事業 | 法人 | |
|---|---|---|
| 実効税率の目安 | 所得税5%〜45%の累進(+住民税等) | おおむね30〜35%程度でほぼ一定 |
| 取引先からの信用力 | 法人に比べ見劣りする場合がある | 高く見られる傾向がある |
| 社会保険への加入義務 | 業態による | 原則加入義務がある |
| 設立・維持のコストと手間 | 少ない | 登記費用・維持コストが発生する |
よくある質問
個人事業として宅建業を始めることはできますか?
専任の宅地建物取引士を設置すれば、個人事業として宅建業免許を取得することも可能です。
法人成りのタイミングの目安はありますか?
所得税の実質的な税率が法人の実効税率(おおむね30〜35%程度)を上回り始める所得水準が一つの目安とされますが、所得控除の状況等で個々に異なるため、正確な判断は税理士への相談をおすすめします。
執筆・監修: 小嶋 勇輝(宅地建物取引士)