個人事業 vs 法人、不動産開業でどちらを選ぶか
結論
宅地建物取引業免許は法人だけでなく個人事業主でも取得できます。個人事業は開業の手軽さとコストの低さが魅力で、法人は信用力と将来の事業拡大の面で優位性があります。まず個人事業でスモールスタートし、軌道に乗った段階で法人化する「法人成り」という進め方も現実的です。
個人事業でも宅建業免許は取得できる
宅地建物取引業免許は、法人だけでなく個人事業主でも取得することができます。専任の宅地建物取引士を設置するなど基本的な要件は法人の場合と共通していますが、開業の手続きや事業運営の性質には違いがあります。
個人事業のメリット
開業届を提出するだけで開業できるため、法人設立のような登記手続きや定款作成が不要です。初期費用を大きく抑えられる点が最大のメリットで、スモールスタートしたい場合に向いています。
個人事業のデメリット
法人に比べて対外的な信用力で見劣りする場合があり、特に企業間取引や大きな案件では法人であることが取引条件になるケースもあります。また、所得が増えるにつれて税負担(累進課税の所得税)が重くなる傾向がある点も考慮が必要です。
法人のメリット
取引先からの信用力が高く、事業拡大や人材採用の面でも有利に働きやすいのが特徴です。一定の所得水準を超えると、法人の方が税負担を抑えられる傾向があることも、法人化を選ぶ理由の一つです。
法人のデメリット
設立に登記手続きや費用が必要で、社会保険への加入義務も生じます。個人事業に比べて事務手続きの負担は大きくなります。
どちらを選ぶべきか
まずは個人事業でスモールスタートし、事業が軌道に乗った段階で法人化する「法人成り」という進め方もあります。開業時点での資金状況や事業規模の見通しに応じて、柔軟に選択することが大切です。
個人事業 vs 法人
| 個人事業 | 法人 | |
|---|---|---|
| 開業手続き | 開業届の提出のみ | 定款作成・登記が必要 |
| 初期費用 | 抑えやすい | 登記費用等が発生する |
| 対外的な信用力 | 法人に比べ見劣りする場合がある | 得やすい |
| 実効税率の目安 | 所得税5%〜45%の累進課税 | おおむね30〜35%程度でほぼ一定 |
| 社会保険 | 加入義務は業態による | 加入義務が生じる |
よくある質問
個人事業から法人に切り替えるタイミングの目安はありますか?
事業所得が一定水準を超えたタイミングで検討されるケースが多いですが、正確な判断は税理士への相談をおすすめします。
個人事業のまま事業を拡大することはできますか?
可能ですが、取引先によっては法人であることを条件にされる場合があるため、事業の方向性に応じて検討が必要です。
執筆・監修: 小嶋 勇輝(宅地建物取引士)